2009.09.29
ラスベガスを駆け抜けろ
今日はレンタカーを返却しにお向かいのベラージオホテルへ。
セドナから長距離を走ってきた車とお別れの日である。
お向かいだからすぐ着くわ・・・と思っていたのがそもそも大きな間違いだった。
いちおうレンタカー返却時間の1時間前にホテルを出た。
けど道路工事で複雑に道路が封鎖されていてホテルから裏の大きな道路に出る道すらわからない!
しかも道路だと思って走っていたら別のホテルに続く私道だったりして、ラスベガスのホテルの巨大さに唖然とするわたしたち。
でも唖然としてる暇はないっ!アメリカでレンタカー返却時間を1分でも過ぎたらペナルティーとしてレンタカー料金より高額な罰金が科せられるんだから!
「早く!いま右にまがって!」「急に言われても無理やわ!」「そっちの車道じゃないよ!」「言うのが遅いねん!」みたいな会話を泣きそうになりながら繰り返し、なんとかベラージオの敷地内に入れたのは12時5分前。
よしっ!走れば間に合う!
でも焦れば焦るほどうまくいかないもので、今度は駐車場からベラージオのレンタカーオフィスに行く道がわからない!昨日念入りにレンタカーオフィスの場所は確認しておいたのに、駐車場からのアクセスは確認していなかったのだ。
ベラージオはホテル前で曲に合わせて動く噴水のアトラクションが有名だけど、季節ごとに豪華に装飾されたロビーも噴水にまけず劣らず有名な超高級ホテル。わざわざロビーを見学に来る観光客もたくさんいる豪華なホテルなのだ。
でもそんな超高級ホテルのベラージオの華麗なロビーをわたしたち二人はわき目も振らずに猛ダッシュ!ピアノの生演奏が行われているおしゃれなカフェの横を走りぬけ、豪華なフロント前を大の大人二人が鼻の穴を膨らませながら本気のダッシュ!!
ふぅふぅ息をきらせながらレンタカーオフィスにたどり着いたときにはすでに12時を3分ほど過ぎていた。
「間に合わなかった~!あぁ~どうしよ~!罰金がこわい~!!」という心の叫びはみじんも見せず、汗ばんだ顔にはりついた髪の毛を振り払い、満面の笑みで「レンタカーを返却したいのですが。」とレンタカーオフィスのおばちゃんにキーと返却用のバウチャーを渡した。おばちゃんはバウチャーを見てコンピューターに何かを打ち込んでいる。「きっとこのパソコンのデータで返却時間を過ぎたことがバレるんやわ・・・」と死刑宣告を待つような気持ちでおばちゃんを見つめる二人。
ところが「ありがとう!では良い一日を!」とおばちゃんにあっさり言われる。
「え!罰金はいらないんですか?!」という心の叫びはみじんも見せず「ありがとう。」と満面の笑みでレンタカーオフィスを去るわたしたち。
レンタカーオフィスから出た瞬間「よかったなぁ~。」「ほんまによかった!」と二人で喜んだのは言うまでもない。
レンタカーの故障にはじまり、レンタカーがらみでいろいろと悩まされてきたけれど、やっとこれでレンタカーの件が終了するのかと思うと解放感でいっぱいになった。二人とも極度の疲れで無言になる。
無言で自分たちのホテルへと歩いているとしばらくしてモトキが立ち止まり「おれの帽子がない」と言いはじめた。
ユキ 「え!帽子って?ホテルにあるんちゃうの?」
モトキ「いや。ちがう。車の中やわ・・・。」
ユキ 「・・・。ウソやろ・・・。」
モトキ「・・・。」
ユキ 「・・・。」
モトキ「・・・。」
ユキ 「・・・もう捨てよ!」
モトキ「いや、それはあかんやろ。」
ユキ 「もっとおしゃれな新しいのを買お!」
モトキ「おれは取りに行く!!」
ユキ 「でも帽子取りに行って返却時間が過ぎてたってバレたらどうすんの?」
モトキ「そうなったらナンボでも払たるわいっ!」
ユキ 「・・・。」
そんな大事な帽子ならなんで忘れるんやという言葉は飲み込み、帽子を取りにまたもや先ほどのレンタカーオフィスへ。
レンタカーオフィスへ行くとドアが閉まっており「1時間のランチタイム」というプレートがかかっていた。
そしてまたさっきの会話と似たような会話を数回繰り返し、けっきょく1時間ここで待つことに。先ほど必死の形相で走り抜けた豪華なロビーで今度は二人ともがっくり肩を落として空腹に耐えながら無言で1時間待機。
1時間後あらためてレンタカーオフィスへ。
レンタカーオフィスのおばちゃんに言うとまたもやパソコンに何か打ち込んで確認している。
冷や汗をかきながらおばちゃんを見つめていると、駐車場にスタッフがいるからそこに行ってとにこやかに言われた。
「よかった~。助かった~。罰金まのがれた~。」という思いはみじんもみせず「ありがとう。」と満面の笑顔のままそそくさとオフィスを出た。
帽子を取りに言ったあと二人ともドッと疲れてこの日は夜までお昼寝。
しばらくレンタカーは借りたくないと強く思った一日だったけど、こののちレンタカーがらみでもっと大変なことになるとはこのときは知る由もなかった。