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2009.10.08

謎のミュージシャン!エンリケ

カンクンのセントロにはトゥルムアベニューという南北を走る大きな通りがある。この通りには大きな銀行やスーパー、レストランなどがあり、観光客も多くいつも賑やかである。

この通りと平行してヤシュチランアベニューという通りが西側にあり、その通りに面してパラパス公園という大きな公園がある。この公園では子供たちが広場でゴーカートに乗って遊び、その広場の周りを囲むように置かれているベンチではカップルや近所の人たちがジュースを片手にくつろいでいる。そのベンチの周りには屋台が30近く出ていて活気あふれる市民の憩いの公園となっている。

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この公園の西側には小学校があり、公園から小学校に沿ってさらに西へ歩くとブランコや滑り台、雲梯などが置かれている名もない小さな公園があった。

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この公園はさっきの公園と違いとても静かである。木の葉のこすれる音とともにこどもたちの遊ぶ声が遠くに聞こえる以外には、メキシカンのおっちゃんがクラシックギターで心地いい音楽を奏でていた。

モトキが公園に携わる仕事をしていたので、このカンクンのセントロにある小さな公園を写真で撮っていた。すると後ろから白いタンクトップを着た青年が「I have a question!(質問があるんだけど!)」と手を振りながらわたしたちの方へと走ってきた。

「どうして日本人はいつも写真ばかり撮っているの?」と青年。

「ん~、なんでかなぁ?」「そういわれるとなんでかわからんね・・・。」モトキと二人で考えてみたけどいい答えが見つからない。

そんな会話をきっかけにわたしたちはいろいろな話をした。

彼の名前はホセ。ITを勉学中の学生さん。日本語を勉強しているという彼は日本の文化や日本で流行っていることなどに興味しんしん。

「日本人はどうして面長なの?」「日本人は他のアジア人に比べてどうして背が高いの?」「日本ではどんな音楽が流行っているの?」などなどたくさんの質問をうけた。

そして話題が音楽になってしばらくしてから、ずっと公園でギターを弾いているタンクトップ姿のおっちゃんを指差してホセが「あの人はメキシコでとても有名なミュージシャンなんだよ。」と教えてくれた。

「え!そうなん?」と驚くわたしたち。どうみても彼はただのおっちゃんにしか見えなかった。目を閉じてマイワールドにドップリ浸りながらギターをかき鳴らしているおっちゃん。すると曲がちょうど終了したらしく、満足げな表情でそのおっちゃんはわたしたちの方へやってきた。

おっちゃんの名前はエンリケ。

ホセによるとエンリケは毎日この公園で作曲したり練習したりしているとのこと。

そしてこのエンリケを慕う若者たちが毎日のようにエンリケの周りに集っているらしい。

エンリケに「有名なミュージシャンなんだって?」と聞くと「そうだよ。ボクのこと知らないのかい?日本でもボクのCDが発売されているんだよ。」というのでまたまたびっくり!「え~!知らなかった~!知らなくてごめんなさいね。」とわたしたちが言うと満足そうに「いいんだよ。」とわたしの肩をたたくエンリケ。でもそんなエンリケの後ろではホセが手のひらを横にフリフリしながら「うそうそ。」と言っている。

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そんな調子でエンリケが話すたびに後ろでホセが「うそうそ。」と言っているので、もう何がホントで何がウソなのかわからなかった。ただホセがエンリケをとても慕っているということだけは二人の会話からとても伝わってきた。わたしたち4人で話をしていると、さらに二人の青年が話の輪に加わってきた。彼らもエンリケを慕う若者たちとのこと。冗談を言い合いながらもみんなエンリケを尊敬しているようだった。

そうこう話しているうちに「ボクの曲を聴いてみるかい?」とエンリケが言ってくれた。

「ぜひぜひ聞かせてください!」とわたしたち。

エンリケお気に入りの木の下にわたしたちは輪になって座り、小さなコンサートがはじまった。

エンリケの奏でる曲はどれもとても心地のいいヒーリングミュージックだった。クラッシックギターのやさしい音色と、木の葉のこすれる音と、遠くで遊ぶこどもたち声。木漏れ日がさす昼下がりのこの空間は、メキシコの喧騒がウソのように思える極上の癒しの空間となった。

「ドワーフ(白雪姫に登場する7人の小人のような妖精)がこの木のまわりを楽しげに行進している様子」や

「ティンカーベルのような小さな妖精たちが木漏れ日で遊んでいる様子」をこの音楽に投影して作曲したんだよと曲が終わるごとにエンリケは1つ1つ丁寧に静かに説明してくれた。

その風貌からは想像できない意外にメルヘンなメキシカンのおっちゃん、エンリケにわたしたちもいつの間にか惹きこまれていった。

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さっき話していたコメディアンのような雰囲気とは一変して、音楽について話すエンリケはとても凛々しくてかっこいい。そんなエンリケを見る若者たちの視線も今までとは違う真剣なものになっていた。小さなコンサートでエンリケマジックにかかったわたしたちは、日が沈み始めるまでこの小さなコンサートを楽しんだ。

最後にみんなで記念撮影。

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帰り際にわたしをちょっとちょっとと真剣な表情で手招きして呼んだエンリケは「この公園に来たら有名なイケメンギタリストがギターを聞かせてくれるよってカンクンにいる日本の若い女の子たちに言っておいて。」とウィンクしながらわたしにささやいてきた。

「もちろん!言っておくね。」とわたし。

このブログを読んでいる日本人の若い女性でもし興味があったらカンクンのこの公園に行ってみてください。

イケメンでメルヘンなおっちゃんエンリケとその仲間たちがあたたかく向かえてくれると思います。

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