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2009.10.28 その2

【ガラパゴス編②】神秘の長寿 150歳のゾウガメ

洞窟を探検したあと、ゾガウメの育成場へ向かった。

「ここがゾウガメの育成場だよ」というダニエル1号の視線の先には今まで車の中から見ていたのと同じ森と草原があるだけだった。ゾウガメといえば1mを超える大きな陸ガメである。きっと巨大な檻の中で大切に保護されていると思うので、動物園みたいなところに着くとわたしは勝手に想像していた。車から降りて、どれだけ見渡しても檻はない。

「ね、かわいいでしょ?」と草原へ視線を向けるダニエル1号にわたしたちは「?」といった感じだった。「どこにゾウガメがいるの?」とダニエル1号に尋ねると「こんなにたくさんいるのが見えないの?」と見事につながった眉をあげてびっくりしている。「え?!まさか?」と草原をよく見てみると、大きな岩がゴロゴロあると思っていたものはすべてゾウガメだった。

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まさかの野良ゾウガメならぬ野生のゾウガメ。こんなにゴロゴロ自由に歩き回っているとは思わなかった。しかも檻の中にいるのを1、2匹見ると思い込んでいたわたしとモトキは、自由な姿で思い思いに過ごすたくさんのゾウガメに心をわしづかみされた気分だった。草原の奥へ進むと水溜りにもまだまだゴロゴロいる。

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あまりにも動作が遅いので岩にしか見えなかったけど、よく見るととても立派なゾウガメだった。わたしたちが興奮して大きな声で感心していると「シー!静かに。ゾウガメはとてもデリケートだから大きな声をださないで。」とダニエル1号。走りよったりしてもいけないし、人間の菌が付着するとゾウガメの生態系が狂うので触るのもぜったいにいけないとのこと。ダニエルが先導してくれてわたしたちは1匹のゾウガメにゆっくり近づいてみた。すると「ふぅ~ぅ~ぅ~。」とゾウガメは息を吐きながらわたしたちにびっくりして首を甲羅の中へ入れてしまった。

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かわいい!正直その巨体にわたしも若干驚いているけど、ゾウガメもわたしたちの姿に驚いていると思うと、とても親近感がわいた。今度は草を食んでいるゾウガメに近づくと、こいつはわたしたちにまったく関心ないよといわんばかりのマイペースで食事を続けている。

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「このゾウガメは150歳ぐらいかな。甲羅の模様をみるとわかるんだよ。」とダニエルが言った。
150歳。
ということは、このゾウガメは幕末に生まれたということになる。
幕末から明治維新、文明開化、日清戦争、日露戦争、太平洋戦争、高度経済成長期、土地バブル崩壊、IT革命、サブプライム問題と、日本が激動のときを経験している間、このゾウガメはガラパゴス諸島のここサンタ・クルス島で、ず~~~~~~~~っとこうやって草を食んで暮らしていたんだと思うと、とてつもなくゆったりした地球規模の時間の流れを感じた。同じ地球上で、場所によってこんなにも時間の流れが違うということを改めて実感した。そしてこの目の前でもくもくと草を食むゾウガメに尊敬にも似た畏怖の感情がわいてきて、誰もいなかったら思わずゾウガメに手を合わせたかもしれない。なんともいえない気持ちになった。

いちおうゾウガメと記念撮影。

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横に人がいるとわかりやすいけど、ゾウガメってかなり大きいものだ。

ゾウガメや野鳥を一通り堪能したあと、ゾウガメ育成場のカフェで一休み。

ダニエル1号のすすめでガラパゴ産のオーガニックコーヒーをいただいてみた。

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コーヒーを飲みながらダニエル1号といろいろ話していると、ダニエル1号はグアヤキル出身ということがわかった。わたしたちが今朝までいた街だ。そこで、わたしたちはアメリカで飛行機を乗りそこねてエクアドルに来るのが1日遅れ、そのためにグアヤキルをまったく観光できかったということをダニエル1号に話すと「それは本当にラッキーだったね」と意外な言葉が返ってきた。「わたしはダニエル1号の故郷グアヤキルを観光できなかったと話しているのに、なんでそれがラッキーなの?」と聞くと、グアヤキルはエクアドルで最も治安が良くないとのこと。強盗がとても多いらしい。とくにわたしたちのようにひと目で観光客とわかる人は1ブロック歩くのもタクシーに乗らないと非常に危険だということを力をこめてダニエルは話してくれた。ダニエル自身、グアヤキルにいるとピリピリ緊張するので、治安の良いガラパゴス諸島で今家族とリラックスして暮らせてうれしいと言っていた。わたしたちはマイアミでレンタカーオフィスがわからなくて道に迷い、けっきょく飛行機に乗り遅れたことは残念なことだと思っていたけれど、それがじつはとても幸運なことだったとはじめて気づかされた。すると感謝の気持ちが胸の奥からじわ~っと広がった。

このあとはホテルへ荷物を置いて、ホテルで昼食タイムとなった。

そして今日の最後のイベント。ダーウィン研究所を訪れた。

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ダーウィン研究所では現在、各国から専門家が集まり、動植物の保護観察が続けられている。とくにカメの飼育が盛んらしく、各島のカメを見ることが出来る。またピンタ島に生き残った最後のゾウガメ"ロンサム・ジョージ"という有名なゾウガメを見に行ったときに、彼が最近繁殖に成功したとダニエル1号が教えてくれた。研究所の港にも様々な動物がいた。こんな風に船で日向ぼっこしているアシカ。

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そしてペリカン。

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海イグアナ。

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そしてこんなふてぶてしい横顔の海イグアナもコンクリートの上でお昼寝中だった。

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また人にすっかり懐いてしまったペピートという名のゾウガメは、ダニエルが「立って、ペピート」と合図すると、首をいっぱいにのばして立つ姿を披露してくれた。

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そしてこんな感じでダレたゾウガメも。

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まさに動物の宝庫。どの動物も愛嬌があって、見ているだけで時間がたつのを忘れてしまうほどだ。でも明日からの島めぐりの方が生き生きした姿の野生動物たちを見ることができるとのこと。こんなことで驚いていたらいけないよとダニエル1号は得意げに明日のツアーの内容を話してくれた。ダニエル1号は陸専門のナチュラリストらしく、明日からは海専門のナチュラリストがガイドしてくれるとのこと。ナチュラリストにもイグアナみたいに陸専門、海専門があるようだ。そしてこの日、最後に感動したのは木のような大きな大きなこのサボテン。

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このサイズのサボテンがたくさん自生していた。この日はほんと驚きの連続だった。明日はどんな野生動物たちと会えるのか、今からすごく楽しみだ。

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