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2009.11.02

無知ってオソロシイ

次の朝。

ベッドから起きようとすると、体があり得ないぐらいに思い。

おかしいなと思って熱をはかると、39度2分あった。

「39」という数字を見た瞬間頭がクラクラしてきた。まったく風邪の症状はないのに、あっても若干の腹痛ぐらいなのに、なんで?といろいろ考えていると、ふと「これは高山病では?」と思いはじめてきた。

急いでネットで高山病のことを調べてみると「高地では、2日間は安静にして体を高地にならすべし」的なことが書かれていた。「食事は軽めにすること」「睡眠を取り過ぎないこと」「歩き過ぎないこと」など、わたしの「いっぱい食べて、いっぱい寝る」対処法とはまったく逆のことが書かれている。「いっぱい食べて、いっぱい寝る」はすべての病に良いと信じ込んでいたわたしは、高山病のサイトを読んでひっくり返りそうになった。高山病は最悪の場合、死に至るとも書かれている。

無知ってオソロシイ。

知らないって怖いなって、改めて思った。

ちなみにモトキはケロっとしている。まったく平地と変わらないらしく、いたって体調も良いとのこと。

高山病は、高地に行ってみないと罹るか罹らないかわからない。体力があるから、若いから、というのは関係なく、高山病に罹るかどうかは人それぞれ、ケースバイケースみたいだ。一度高山病に罹っても、次の高地では高山病にならない人もいるとサイトにあった。

けど、これからわたしたちの旅は、天空都市マチュピチュの玄関口であるペルーのクスコ(標高3399m)、ボリビアの首都ラパス(標高3650m)、ボリビアのウユニ塩湖ツアー(最も高い場所は標高約4900m)と、富士山(標高3776m)より高い高地をめぐるルートをたどる予定でいる。標高2850mのキトでこんなに体調を崩していたら、これからどうなるんだろうとさらに頭がクラクラしてきた。

でもまぁとにかく、安静に。安静に。

この熱が高山病かどうかもわからないし、次に高地に行く前には高山病についてしっかり勉強しようと、ベッドで横になりながら心に決めた。

明日は飛行機でペルーの首都リマ(標高約150m)へ向かう。

高山病なら、高地から脱出すればすぐに治るだろう。

モトキがなれないスペイン語を駆使して、高山病に良いとされるマテ茶をホテルのフロントに注文して持ってきてくれた。マテ茶をゆっくりと飲んで、安静にしていればきっと大丈夫。

今日は本当は赤道記念碑に行くはずだった。
モトキが前からとても楽しみにしていたところだ。「今日行けなくて、ごめん。」と言うと「また今度いこ。また来たらいいねん。」と元気に言ってくれた。やさしい夫でありがたいなとじんわり思い「ありがとう」と言った瞬間、ふと、大事なことを思い出した。

今日は絶対に銀行にお金をおろしにいかないといけない日だったのだ。

手元には現金がもうほとんどない。今日お金をおろさないと、明日の空港までのタクシー代が払えない。でも、昨日場所を確認しておいたATMまで、このホテルから歩いてだいぶ距離がある。39度の熱で歩いて行くにはだいぶ気合いが必要だ。モトキに一人で行ってもらえばいいのだけれど、ただ、ここ新市街は昼間でもなぜか人っ子ひとり歩いておらず、閑散とした雰囲気で、治安面で少し不安を感じる。しかもATMは道路に面していて「いま現金おろしてます!」と道行く人全員に宣言しているような場所にあった。あんなところにモトキ一人を行かせるのはあまりに心配だ。けど、体があり得ないぐらい重い。

しばらくジレンマに苦しんだ結果、わたしもモトキとATMに行くことにした。

39度の熱でフラフラだけど、いないよりはマシだろう。一人より、二人の方が襲いにくいものだ。モトキも治安の悪さを肌で感じているせいか「一人で大丈夫やで」といいながら目が完全に泳いでいる。わたしが付いて行くと食い下がるとしぶしぶ聞き入れてくれたけど、少しほっとしているようだった。

ATMまでどのように行ったかあまり記憶はない。

39度の熱と、南米で現金をはじめておろすという不安から、夢の中の出来事のようにすべてがふんわりとした時間に流されていった。

そして、気づいたらまた、お気に入りのレストラン「ママクロリンダ」にきていた。

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食いしん坊ばんざいである。

高熱はあっても、食欲は衰えず。

モトキがおいしそうにエビやらフライドライスのランチをほうばるのを横目に、わたしは大好きなソパ・デ・パパとマテ茶だけにした。

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ホテルに戻るとぐっすり寝てしまって、起きると日が暮れていた。夕食はホテルのレストランで軽くすませて就寝。不思議と次の日の朝は、熱が37度半ばまでさがっていた。モトキのマテ茶のおかげやわとモトキにお礼を言いつつ、空港に向かうタクシーの中で、セドナのシャーマンが守ってくれたのかもなぁとふと思ったりした。

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