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2009.11.03 その2

ペルーの首都リマの新市街

飛行機がペルーの首都リマの上空を飛んでいるとのアナウンスが入ったので窓の外をふと覗いてみると、土で作られた数え切れないほどの家が、まるでハチの巣のように密集して建っていた。

 

そして、わたしは初めて目にした。

 

屋根のない家が見渡す限り並んでいて、その家の中で生活している人がいるという、お人形の家のような光景を。

 

いけどもいけども、屋根のない土の家が延々と続いている。そして、家の中のさまざまな生活が垣間見えた。ハンモックにパンツ一丁で横になっているおっちゃん。洗濯物を干しているおばちゃん。部屋で遊ぶ幼い兄弟。飛行機は、黄土色の砂煙が舞う中を、屋根のない家々の上をしばらく飛び続け、家にぶつかるかもとわたしが思った瞬間、滑走路に着陸した。

 

屋根がないのはどうして?
雨が降らないから?
貧しいから?

 

いろんな疑問が頭の中を飛び交う。

 

飛行機を降りるまで、夢の中の光景を思い返すときのような、気が遠くなるような感覚がした。そして、とんでもない国に来てしまったような、不思議の国のアリスになったような、妙な気持ちがした。

 

リマの到着ゲートを出ると、わたしたちの名前を書いた紙を持った大柄なおにいちゃんが、浅黒い肌に映える白い歯を見せて笑顔で迎えてくれた。

 

わたしたちがリマでお世話になる日本人宿「当山ペンション」のドライバーだ。

 

当山ペンションのペペさんと以前メールでやり取りして、空港まで迎えの車を手配してもらっていた。「絶対に他のドライバーについていかないでください。絶対にですよ。必ずホテル名を確認してください。本当に気を付けて下さい。」とかなり厳しく注意されていたので、わたしたちはホテル名をドライバーに確認した。

 

英語とスペイン語と少しの日本語まじりのドライバーの名前はアントニオ。

 

彼はとてもやさしい人で、リマの空港がどれだけ危険かをホテルまでの道中で教えてくれた。たしかに飛行機を降りてすぐに「空港内の客引きには絶対に付いていかないでください」という張り紙をいくつか見た。国をあげて観光客に警告してくるあたり、けっこうマジで危険そうである。リマの治安の悪さも旅行者から聞いていたので、わたしたちは信頼できるホテルのドライバーをお願いしたのだった。

 

アントニオは、リマの最近の変化を冗談まじりに明るく話してくれた。

 

長い長いアントニオの喋りが続いたが、まどめると、中国人がとにかく急速に増えているということらしい。ペルーのどこにいっても中国人がいて、そのうちこの国は中国になってしまうかもしれないよ、と大きな背中を揺らしながらアントニオは話してくれた。そういえば、わたしたちがこれまで訪れたアメリカも、ベリーズも、メキシコも、エクアドルにも、中国人が集団で住んでいるようなエリアがあった。中国の勢いを初めて肌で感じた。ちなみに、ペルーの良いところをたくさん話してくれるアントニオに、わたしは最後まで飛行機の窓から見た光景を尋ねることはできなかった。

 

当山ペンションは、とても閑静な住宅街にあった。

 

ホテル周辺ではとくに治安の悪さも感じない。ホテルに到着すると、ペペさんが丁寧にリマの治安について日本語で丁寧に説明してくれた。どの地域が危ないとか、どの通りが危ないとか、タクシードライバーとの値段交渉の方法とか。わたしたちにはありがたいアドバイスをたくさんいただいた。

 

ホテルの近くにある中華レストランでランチを済ませて、まずはタクシーでCruz del Sur(クルス・デル・スル)社のバスターミナルへ。

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バスターミナルはペルーにしては驚くほどキレイだった。ここで明後日行くナスカまでのバスの往復チケットをおさえた。Cruz del Sur(クルス・デル・スル)社のバスターミナルはサン・イシドロ地区と旧市街にあるが、当山ペンションのカルロスさんから、旧市街よりもサン・イシドロ地区の方が治安が良いと聞いたので、わたしたちはサン・イシドロ地区にあるクルス・デル・スル社のバスターミナルのオフィスでバスチケットを予約した。そのあとはリマの新市街を散策。

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新市街はこれまた意外に近代的で、海沿いにはここがペルーだとは信じられないぐらい巨大なショッピングモールもあった。

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飛行機から見た黄土色の屋根のない家々の光景と、いま目の前にあるショッピングモールのある近代的な光景に、なんともいえない混沌を感じた。

 

ちなみにこのショッピングモールの入口にはライフルを持った警備員が二人いて、入場はかなりきびしく規制されているようだった。近くに住んでいるらしき地元の青年やおばちゃんが入ろうとすると、警備員は大声で怒鳴りながら入場を拒否していた。

ショッピングモールでキレイなお手洗いをぜひ拝借したいわたしたちは、ショッピングモールに入って行く人たちをドキドキしながら10分ほど観察してみた。どうやらあきらかに外国人で観光客とわかる人、もしくはあきらかにお金持ちとわかる地元の人は入場できるようだった。

 

モトキ:「オレらは地元の中国人に間違えられるかもしれへんなぁ。」
ユキ:「でも、もうこれ以上トイレ我慢できないで。イチかバチか挑戦してみよ!」

 

ということで、なぜか威圧的なアメリカの入国審査よりもドキドキしながら、手に汗を握りしめてわたしたちはショッピングモールに入ろうとした。

 

すると突然、「ハロー!」とにこやかに笑いかけてくる警備員。

わたしたちも引きつりながら「ハロー!」と挨拶。

 

なんなく無事に通過できた。

 

どうやらわたしたちはまだ「外国人の観光客」に見えるらしい。

 

ありがたくキレイなお手洗いだけお借りして、ショッピングモール外の近くの公園を散策することにした。公園には南米らしい、なんとも情熱的なオブジェが。

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海が見えるこの公園では家族連れや、カップルがくつろいでいて、海岸の上空ではこんなパラグライダーの姿も。

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新市街では観光警察が1ブロックおきに立っていて、かなり厳重に治安は守られているように感じたけど、逆にそれだけ危ないということなのかな。この日は久々に夕食で本格的なお寿司を堪能し、タクシーでホテルへ帰宅。お寿司好きのモトキはとてもご満悦だった。

 

ちなみに、リマのタクシーは暑くても空調はつけないみたい。行きのタクシーも、帰りのタクシーも、かなり気温が暑い中タクシーのすべての窓を全開にして走るのだ。そういえば、ベリーズもそうだったな。ただ、リマは大気汚染が本当にひどくて、タクシーに乗っているだけでチリとホコリと排気ガスで何度も何度も咳込んでしまう。

 

気管支の弱い人はストールなどで口元をおさえてタクシーに乗るのがおすすめです。

 

わたしもこの日の夜、高校生のときの部活の合宿以来、久々にぜんそくになった。ぜんそくで息が苦しくて寝つけないなんて、10数年ぶりだ。ほんと、息が苦しくてクラクラする。

 

今日は早めに寝ることにした。


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