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2009.11.04

南米の洗礼!食中毒!!

わたしは昨日、熟睡できなかった。

夜中ずっと、わたしのお腹でゴジラとキングギドラが大暴れしているかのようだった。

どうやら昨日夕食に食べたお寿司にあたったみたいだ。

 

ちなみに中南米の多くの国では、トイレットペーパーをトイレに流せない。

そのため、使用済みのトイレットペーパーは便器の横にあるプラスチック製のかごに入れるのがルールだ。

また中南米でよく見かけるトイレットペーパーの色はなぜか鮮やかなショッキングピンク。

かごに山盛りになっていくショッキングピンクのトイレットペーパーを横目に、いつまでこの状態が続くのかと途方に暮れながらベッドとトイレを何度も往復した。

 

おう吐はないけど、昨日の夜クラクラするのはぜんそくよりも食中毒が原因だったのかも。やっぱり魚介類を生で食べるのはよくなかったかな。

朝起きると、異常な身体の重さで、高熱がでているのがわかった。

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モトキも同じようにあたっているのではと心配だったけど、モトキを起こす前にとりあえず自分の熱を計ってみた。

39度2分。

やっぱり…。

 

すると、隣のベットで寝ていたモトキがさっと起きて洗面所へ向って行った。

もしかしてモトキも…。しかもモトキはわたしの1.5倍の量のお寿司食べてたし…。

 

お寿司を食べたことを後悔しつつ、モトキの身を案じていると、しばらくして洗面所からモトキの口笛が聞こえてきた。

「昨日死ぬほど寿司食うたったけど、やっぱ朝になると腹って減るもんやなぁ。」と顔を洗ってさっぱり感を全身に漂わせながら、モトキが笑顔で戻ってきた。

(元気そうでよかった。)という思いと、(アンタはどこの国でも元気に生きていけるわ。)という思いと、(またわたしだけ体調が悪くなって申し訳ないな…。)という思いを同時に感じながら、モトキにわたしの体調が悪いことを伝えた。モトキが元気なことがせめてもの救いだ。両方倒れたらいろいろと面倒なことになっていたと思う。

 

わたしたちは今日もペルーの首都リマの日本人宿に泊まっていた。

ちなみに「日本人宿」とは、日本人を宿泊客の中心にしている日本人経営の海外の宿のことを指す。ペルーは日系移民の方が多く、日本人宿も多い。この宿を経営するペペさんも日系3世。あまり治安が良くないといわれるリマだが、このペンションは比較的治安の良いエリアに立地している。このあたりは高級住宅街といった感じで、近くにはキレイな公園があった。

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安全のため「ホテル」という看板も外には出しておらず、一見したらちょっと大きめの普通の家にしか見えない。ペンションは鉄柵で囲まれていて、ペンションの敷地内は完全にオートロックのセキュリティで守られており、とても安心だ。まるでこのペンションだけ切り取られたように、日本のような安全な空気が流れている。ペンションには共有の日本語の本や漫画もたくさん置いてあり、2Fの共同リビングでは日本語のNHKが映っていて、そこではたいがい日本人観光客の誰かがくつろいでいる。

今日はキトに引き続きまたわたしの体調不良で観光できないけど、ペンションから一歩も出なくてもモトキなりに一日いろいろと楽しめそうなのでよかった。

朝食は適当に済ませて、明日のナスカ行きに備え、今日はわたしは一日個室のベッドでゆっくり寝ることにした。

 

「日本人と久しぶりに話しておいでよ」とベッドにもぐりながら言うわたしに「いやぁええよ…」としばらくがんばっていたモトキは「そこにいてくれてもわたし今から2、3時間は寝てしまうで」というわたしの一言に、「なんかあったら、共有スペースにすぐ電話してきてや」と申し訳なさそうに言い残して、2Fの共同リビングに降りて行った。

エクアドルのキトのホテルでわたしが寝込んだとき、わたし以外に話す相手のいないモトキはわたしの横にずっといたけど、久々に日本語が通じるこの日本人宿ではモトキは水を得た魚のように他の宿泊客に話しかけ、スタッフに話しかけ、とても日本人宿を満喫しているようだった。たまにわたしの様子を伺いに来ては、仲良くなった日本人観光客のことをうれしそうに話してくれた。

 

それにしても、2、3時間寝るとモトキに言ったはいいが、なぜかなかなか眠れない。健康だけが取り柄のわたしは大人になってから寝込んだことがないので、いまこんなに高熱があるのに明日7時間バスに揺られて本当にナスカまで行けるのか、正直不安でいっぱいだった。悪寒が止まらず、眼球や喉までが熱を持ってその存在を主張してくる。お腹は少しマシになってきているけど、キトでも味わったばかりのこの感覚が、南米への不安を余計に募らせた。

これからは生魚はぜったいに口にしないようにしよう。
目の前でどんなにモトキがおいしそうに食べていても、わたしはやめておこう。
そう心に決めた。

 

夜には微熱になり、体調もだいぶ良くなった。

ペペさんのママがおかゆさんを作ってくれるというので、モトキと2Fのダイニングに降りて行った。

モトキは特別にペルーのお料理を作ってもらっていて、「うまい!うまい!」ととてもおいしそうに食べている。ダイニングの同じテーブルには、わたしと同じようにおかゆを静かに食べている日本人の女性がいた。

 

彼女はNY在住のリエさん。

NYで仕事をされていて、NYからペルーに一人できたとのこと。明後日にはクスコに向かうらしい。ペルーから隣国のボリビアへ向かうリエさんとわたしたちはまったく同じルートをたどる。

一人旅をよくするというリエさん。リエさんはとてもおだやかな語り口調の華奢な感じの人で、こんな華奢な女性がNYでバリバリ仕事をして、南米を一人で旅するというギャップに驚いた。でも女性一人で南米を旅行するなんて、なんてかっこいいんだろう。同じ旅好きの女性として憧れてしまう。

 

リエさんは昨日、ペルー名物のセビーチェ(生の魚介のマリネ)を知人と食べにいったところ、あたってしまったらしい。リマにあるとても高級なレストランに行って、地元に住むリエさんの友達もここは絶対に大丈夫と言うので安心して食べたのにあたってしまったとのこと。

わたしはよく知らなかったけど、セビーチェを食べてペルーで腸チフスになる日本人もいるらしい。ペルーを訪れる日本人が生の魚介類を食べるとけっこう食あたりを起こす人が多いようだ。

 

人によってはモトキのように生魚を食べてもまったく問題ない人もいると思うけど、せっかくの旅行で体調を崩さないようにするにはやっぱり生のお水、氷、魚介類は避けた方がいいのかもしれないなとリエさんの話を聞いて改めて思った。

リエさんとの話ははずんで、気づいたら5時間ぐらい3人で話しこんでいた。

9.11のときのNYの様子とか、アメリカでどれだけリストラが日常茶飯事か、アメリカと日本の国民性の違いについて…などなど、リエさんのお話はとても興味深くておもしろくて、あっという間に時間がたっていた。

 

久々にモトキ以外の日本人と長時間日本語で話したので、とてもリラックスできた。

明日はいよいよナスカへ向かう。

お目当てはもちろん、ナスカの地上絵だ。

このところ体調を崩すことが続いて少し不安になっていたけれど、リエさんと話す中でまた南米へのワクワクが戻ってくるのを感じた。あのナスカの地上絵をこの目で見れるのだから、ワクワクせずにはいられない。

 

でもそのナスカで、わたしたちは南米の【本当の洗礼】を受けることになるとは、このときは夢にも思わなかった。

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