2009.11.05
ナスカのミイラとご対面~やさしい客引きミラグロ~
早朝に起きてすぐバスターミナルへ。
今日いよいよナスカへと向かう。
前日の食中毒はどこへやら。
今日は腹痛もなく、熱も下がっている。
脱水症状と昨日ずっと寝ていたのとでふらふらするけど、
ありがたい。
健康であることの「有難さ」を改めてかみしめる。
バスターミナルに到着してみると、 ペルーのバスが意外にも(失礼)キレイでびっくりした。
バスは2階だて。 ペペさんから、2階の1番前の席が景色を一望できてオススメと聞いたので、 わたしたちは2階の1番前の席を予約時にちゃっかりゲットしていた。バスが発車してしばらくすると、リマの街並みは消え、灰色の岩砂漠が広がり始めた。目の前の大きなフロントガラス一面に砂漠の風景がつづく。 青すぎる空と、灰色の岩砂漠の中を、一本の道路がまっすぐ続いていく景色を眺めながら、ナスカの町に思いをはせる。
ナスカの地上絵は、今回の旅行でわたしもモトキも本当に楽しみにしていた場所の1つだ。
出発前、世界不思議発見とかで取り上げられていると、
必ずDVDに録画して二人でチェックしていたナスカの地上絵。
2年前に世界一周をされた岐阜の野口夫妻から、 ナスカの町はリマとちがって静かでこじんまりしているので、 過ごしやすく心地良いと聞いていた。 キトやリマは治安があまり良くないので、町歩きも少し緊張しながらしていたけど、 ナスカでは久しぶりにゆっくりと町歩きができそうだ。
ただナスカは小さな町だから、ホテルやツアーオフィスなどで英語が通じないのではと思うと、 スペイン語ができないわたしは、病み上がりという心細さも手伝って、 少しだけナスカに不安を感じていた。
片道7時間の道のりだったけど、バスでウトウトしているとあっという間にナスカのバスターミナルに到着。
野口夫妻から聞いていたホテルに泊まろうと決めていたのでわたしたちは、バスを降りてさっそくホテルへ向かった。
すると突然「どこから来たの?日本人?」と流ちょうな英語で声をかけられた。
振り返ると、ぷっくりした褐色の肌の若い女の子が満面の笑顔で立っていた。
ちぢれた髪を頭のてっぺんでおだんごにしていて、
まん丸なほっぺに小さなエクボがとてもかわいらしい。
「もしかして、日本人なの?」ともう一度たずねる女の子。
「うん。そうだよ。」と答えると
「わたし、日本人大好きなんだ!ナスカへようこそ!」と人なつっこい笑顔を返してくれた。
「今日はリマから来たの?」
「ペルーははじめて?」
「どれぐらいナスカに滞在する予定?」
「ホテルは決まってるの?決まってなかったら素敵なホテルに案内するよ。」
こんな女の子の質問攻めに合いながら、1つ1つ質問に答えていると、
わたしたちが泊まる予定のホテルは自分のホテルだから案内するよと女の子は言ってくれた。
今日はなんてラッキーなんだろう。
病み上がりで体調も万全じゃないから、ほんとに助かった。
不慣れな町でホテルを探すのは少し心細いし。
「あなたに会えてよかった。昨日まで体調を崩して心細かったからうれしいよ。ありがとうね。」と
女の子に伝えると「私の方こそ、あなたに会えてうれしいよ。」と満面の笑顔で答えてくれた。ペルーでは客引きに気を付けてといろんな人から聞いていたけど、
今までの少ない経験からすると、だいたい客引きって強引な感じの男の人が多い。
あどけなさの残るこの女の子が、みんなの言う「気を付けるべき人物」とは思えない。
ぷっくりした赤ちゃんのようなかわいらしい女の子の笑顔に、わたしの警戒心は一瞬にして飛び去った。
ホテルでチェックインをするときも、女の子は、受付のスタッフは英語ができないからスペイン語で全て翻訳してくれると言ってくれた。女の子と受付の女性スタッフはずっとスペイン語で何やら話している。やっぱり観光地のナスカのホテルでも、英語は通じないのかもしれない。
この子がいてくれてよかった。
チェックイン後、女の子はナスカの地上絵のセスナはもう予約したのか聞いてきた。
なんと、ナスカの地上絵のセスナも予約してくれるらしい。
それも格安で!
観光客がよくボラれるというセスナの値段はわたしたちも事前に調べていた。女の子に聞くと、わたしたちが調べていた値段より5ドル安い。これは間違いないと、わたしたちはすぐにセスナを予約した。そして、やっぱりこの女の子を信頼してよかったと改めて思った。
ナスカ到着後にホテルもセスナもすぐに手配できた高揚感で、私と女の子はずっと他愛もない事を楽しく話し続けていた。女の子に出会ってなかったら、セスナの手配などに1時間はかかっていたと思う。セスナは明日の午前を予約。明日はくもり空みたいだけど、くもりの方がよく見えるから、あなたたちはラッキーよと女の子は言っていた。
この女の子の名前はミラグロ。
ミラグロは、ナスカの砂漠にあるお墓やミイラを見るツアーも提案してくれた。
特に今日は予定がなかったわたしたちは即決。
午後からは、ミイラツアーに行くことになった。
そして、日本語が話せるウェイターがいるカフェも教えてくれた。
ランチをそこでとろうとモトキと話していると、
そのカフェまで車で送ってくれるというミラグロ。
ミイラのツアーは、ここまで車で迎えに来てくれるとのこと。
至れり尽くせりのサービスだ。
客引きだからって、初めて会う人全員を疑うのは良くない。
ミラグロみたいに客引きでも良い人がいるし、信じる心が大切だ。
心からそう思った。
ランチのあと、ミイラツアーに出発。
バスの車窓から見ていた砂漠の風景に実際に降り立つと、言葉にできないぐらいの自然の迫力を感じた。
こんな感じで、お墓は地下に埋まっている。雨がほとんど降らないナスカだからこその保存状態。
お墓の上には、申し訳程度の屋根がかかっていた。
近くに小さな博物館みたいなものもあり、中へ入ってみた。
ガラスケース越しに見るミイラに思わず息をのむ。
そもそもミイラを見ること自体初めての私は、テレビの画面で見るのと、 実際にみるのとでこんなにも感じ方が違うのかと改めて思った。この人がこのナスカで生きていた頃。この足で灰色の砂漠を踏みしめて歩き、この手でこの髪を整えていたであろうその時代を思うと、目の前のミイラはミイラではなく、古代に生きてなんらかの事情で亡くなった「人」の亡き骸なんだ、ミイラという「モノ」ではなく「人」なんだと、そんな当たり前のことに妙に納得した。
この日は明日のナスカの地上絵に向けて早く就寝。
明日のナスカの地上絵。ほんとに楽しみだ!