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2009.11.08

日系移民のお祭りで気づいたこと

昨日、ナスカからリマの当山ペンションに帰ると、ペペさんが笑顔で迎えてくれた。

ペペさんの日本語の「おかえりなさい」に「ただいま」と日本語で答えると、

自分の家に帰ってきたみたいにほっとした。

当山ペンションのシーツはホテルによくあるパリっとノリがきいたもの

(あの感触は脚がむずがゆくなるのでわたしは苦手)ではなくて、

家で毎日使うシーツみたいに洗いざらしのふんわりした感触だ。

おひさまの匂いのするやわらかいシーツにつつまれると、

なんともいえないあたたかい気持ちになった。

 

次の朝、ペンション近くにある日秘文化会館で今日、

日本人移民110周年のお祭りがあるらしいので行ってみることにした。

日秘文化会館は、1967年に日本とペルーの文化交流を目的として建てられたものだ。

1899年、第1回目の日本人移民790人が農業労働者としてペルーに渡ったのが、

ペルーの日本人移民のはじまり。

 

当時のペルーは独立国とはいえ、スペイン人が支配する貧富の差の激しい階級社会だったようだ。

当時ペルーでは、奴隷制度が廃止され、中国人移民が禁止されて、労働者が激減していた。

そこに日系移民の労働があてられたのだ。

日本人移民は、サトウキビ農園の過酷な労働条件で多くの死者がでたとのこと。

その後、ペルーには1923年まで出稼ぎ移民として約2万1,000人の日本人が渡った。

2005年の数字では、ペルー在住の日系人は8万人。アメリカ北中米大陸を合わせると、

250万人の日系社会が存在する。

250万人というと、ちょうど京都府の人口と同じぐらいの人数で、

その数の多さには正直驚いた。

勉強不足で日系の方達に申し訳ないけど、

日系移民のことについて自ら調べたのはわたしは今回が初めてだった。

日系移民の人が南米にたくさんいるらしいということは知っていたけれど、

どこか遠い国のことのようで、リアルに感じたことは正直今まで一度もなかった。

今ペルーに来てみて初めて、日系移民の人たちを身近に感じた。

 

日秘文化会館に到着。

 

真ん中の広場では、日本のお祭りみたいに屋台がたくさん出ていた。

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よく見ると、都道府県別の屋台がたくさん並んでいる。

たとえば鹿児島の屋台がこれ。

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福岡はこんな感じ。

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ついさっきまで感慨深く日系移民の人たちの話をしていたモトキとわたしは、

屋台のうどんやお弁当に一瞬で心が奪われた。

「うどんあるよ!」

「お弁当も売ってる!」

「あっちでおにぎり売ってるで!」

と目に入った日本食をしばらくの間可能な限りお互い報告し合って

「とにかく、ここを一周して何が売ってるかリサーチしよ!」

と鼻息荒くうなずきあった。

 

ウソみたいな話だけど、ナスカの地上絵を見たときより興奮した。
本場アメリカのディズニーランドに行ったときより興奮した。

 

そんなおおげさな…と思われるかもしれないが、

それぐらい、わたしたちは日本食に飢えていた。

まだ日本を出発して2カ月足らずだけど、
これからあと10カ月間日本食が食べれないと思うと、
日本食への異常なまでの執着はよりいっそう強くなっていた。

 

そして、

とりあえず、うどんをいただく。

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お弁当もいただいた。

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おにぎりも、お餅も、おかきもいただいた。

 

興奮しすぎて、後日見返すとこの日は写真をあまり取っていない。

とにかく、夢中だった。

夢中で日本食をむさぼり食った。

今回の旅行では、町から町への移動で忙しいときなど一日に1食のときもある。

食べ物を調達する時間がなくて、1日にポテトチップスとコーラだけのときもあった。

そして、これからもそんな日がたくさんあるだろう。

 

お腹が空いたときに、食べたいものを食べれる幸せを
日本にいたときは実感したことはなかった。
そんなことは当たり前だと思っていた。

 

今日は和食、今日はイタリアン、今日は中華と選べた日本での生活が
奇跡のように豊かだったことを、このときに実感した。

 

食糧難で飢えている子どもたちが同じ地球上にいることを承知の上で、
わたしはどれだけ食べ物に対して感謝していただろう。

 

ありがたいことだと頭ではわかっているつもりでも、
本当の意味で、
心が震えるぐらい感謝したことってあったかな。

 

お弁当をむさぼり食いながら、
そんなことをふと考えた。

 

日系移民の人たちはどれだけ日本食が恋しかっただろう。

 

食べ物って大切だ。

 

本当に本当に、

ありがたいものだ。

 

心が震えるぐらい感謝してお弁当をむさぼり食ったこの瞬間を忘れないでおこう。

 

この感動を胸に刻み込もう。

 

そう思いながら、おかきを口いっぱいに詰め込んだ。

 


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